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KPIT HEW3+GCCってどんなもん?


 

2004/12/28

HEW3を使ってみる

ふとトランジスタ技術1月号を買う
20041228P00.JPG - 6,739BYTESふと「トランジスタ技術」を見たら、「すぐに使えるUSBデバイス&応用」なんてのが載っていたので、ついつい購入してしまいました。買って読んでみたら、HEW3の評価版コンパイラはついていたので、今回はHEW3をインストールしてみることにしました。というのも、普段はBest TechnologyさんのGDLのお世話になっているのですが、最近はほとんどBest Technology製ボードは使ってなくてなんとなく申し訳ないので、そろそろ別の開発環境に移行しようかな〜と思いまして。とはいえど、このコンパイラ、使用期限があるので、実はKPITの開発環境が本命です。しかし、アレは英語なので、まずはHEWに慣れてみようと思って使い始めてみました。KPITについては、また立ち上げたら書きます。

KPITの開発環境
ま、何はともあれ、経緯を書かねばです。KPITは、どうやら、H8/SH用のGNUコンパイラ、デバッガ、そして英語版HEWを無償で配布してくださっている会社です。しかも、日本語のホームページもあり、さらに日本語のFAQ、日本語の立ち上げ手順までアップされており、すごいですね〜。本業は何をやられているんでしょう?

その他の開発環境候補としては、cygwinもいいかな〜と思ったのですが、IDE(統合環境)好きということ、やっぱシミュレータでいいのでデバッガ欲しいな〜と思ってまして、いつかこれを使ってみようと思っていました。しかし、ネットで調べてみたところ、ちょっと情報も少なく、HEWも英語版ということで二の足を踏んでいました。

ダウンロードですが、アカウントの登録が必要になります。アカウント登録すると、まずメールが来るのですが、それには「どうもありがとう、手動で登録しているから、終わったら連絡するね〜」みたいなことが書いてあります。そして数時間後ぐらいに(自分の場合は1時間程度でしたが)登録完了メールが届きます。

H8開発のためには、以下のツールをダウンロードする必要があるみたいです。まだ、使い方調査中なので、環境が整ったらまた情報アップします。「無償ダウンロード」より

  • 「ルネサスツール」HEW 3.0.6-ntc for KPIT GNU Tools with Simulators
  • 「KPIT GNUツール」GNUH8 v0403 Windows Tool Chain (ELF)
  • 「KPIT GNUツール」GDBH8 v0402 Windows Debugger (COFF/ELF Format)

試しにインストールしてみたのですが、シミュレータデバッグするところまでは日本語の解説で、すいすいっと行ったのですが、HEW3、もっと便利なツールな気がしまして、じゃ、わかりやすさで日本語のHEW3を使ってみようと思った次第です。

まずは評価版HEW3インストール、コンパイルできんぞ?
ま〜、なにはともあれ、「トランジスタ技術」付録のHEW3の方を、添付されていた「インストール方法」を見ながらインストールしました。これはさくさくと進みまして、あとは「チュートリアル」(インストールされたフォルダの下の方に入っています。JH8HTU36.PDFというファイルです。)を見ながら適当にシミュレータで動かすプログラムを作ってみると…

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と、冷たく言われてコンパイルできません。う〜ん、ディスクはちゃんと空きがあるし変だな〜と試行錯誤すること1時間。わかりました。添付の「インストール方法」に「重要!インストール後,ファイルT_LIMIT.DATをインストールしたフォルダ(C:\HEW3)にコピーする必要があります.」とあるのですが、コピーするだけじゃダメみたいで、コピーした後に「読み取り専用」という属性をはずさないとダメみたいです。きっとどっかに書いてあるのかもしれませんが、ま、解決したので良しとします。

やっぱり便利そうなHEW3
へ〜、便利そう。日本語版HEW3の方を触ってみてわかったことあります。シミュレータ上でブレークポイントを仕掛けてデバッグできるというところまではわかっていたのですが、実行サイクル数も表示できます。実行速度が気になるSIPHA COREには非常にありがたいです。これは使わぬ手は無いな〜。まだよくわからない設定も多く、妙にツールバーアイコンが多いですが、なかなかいい感じです。GDLはシンプルで使いやすいのですが、こういう高機能なものもなかなかいいですね〜。

ところで、インストールされたのは「HEW3」なんですが、起動ファイル名は「HEW2.exe」なんですね。う〜ん。

さて、何か動くプログラムでも書いてみようかな〜と思ったら・・・「Flash Development Toolkit」というツールがいるらしい…。ROM書き込みイメージである「motファイル」はできているようなので、適当なツールで書いてもいいんですが、せっかくなので、HEW路線で行ってみようと思います。でも、前にKPITのHEWをインストールした時は、FDTは、なにもせずにツールバーから呼び出せたような気が・・・。とりあえず、昔のトランジスタ技術を友達から借りてきてインストールしてみました。

Flash Development Toolkit
このツールは、最初、どうやって使うんだろう???という感じだったのですが、要は、一度Projectファイルを作ってCOMポート等を設定しておき、そこへ書き込みたいMOTファイルを追加してやればOKみたいです。最初、「こういうやり方」というところで悩みましたが、後はさくさくっといきました。

というわけで、もうちょっと評価版HEW3の使い方になれたら、KPITの英語版HEW3に移行することにします。

ふといたずら心?で、評価版HEWにKPITコンパイラをインストール
ふと思って、試しにKPITから配布されているGNUH8 v0403-ELFをインストールしてみました。というもの、そもそも、HEWは、ツールチェーンと呼ばれる、コンパイラなどを複数管理できるプログラムです。また、KPITの方でも、「まずHEW3(英語版)をインストールしてから、GNUH8をインストールして、ツールチェーン登録する」という流れでインストールするので、ひょっとしたら、今、入っているHEW3からもコンパイラが呼び出せるようになるのかな〜と思いまして。

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というわけで、KPIT GNUH8をインストール。ふむ、そのまま入りました。お、メニューも変わっています。Renesasのコンパイラと違い、シミュレータ上でprintf文は使用できないみたいですが、一通りのことはできるようです。シミュレータ上でブレークポイントも設定できますし、実行サイクル数、変数のウォッチ等、ちゃんと動作させることができます。「MOTファイル」を作るには、実行ツールの設定を追加しないといけない模様。これについては、ALPHA PROJECTさんのホームページに情報が載っていたので、一通りつかえるようになった時点でまとめて書きます。

20041228P03.JPG - 21,898BYTES 20041228P04.JPG - 19,267BYTES

メニューがどう変わったか?についてですが、左が評価版HEW3のみ、右がKPITのGCCコンパイラを追加した時のメニューです。HEW3って、すごいですね〜。
 

2005/01/03

2005年、書初めはC言語

書初め
友人の子供が書初めをするというのを聞いて、このタイトルを思いついたのですが、うちの書初めは、「KPIT環境のHEW3でプログラムを書く」になりました。年末にちょっと手をつけ始めたKPITのHEW3+GCCですが、なんとか簡単なシリアル通信プログラムと、TSC16の移植、動作確認ができるところまでいけました。

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クリックで拡大します。

結局、KPITのFAQを読んでいたら、ROMに書くにはWindowsの場合、RENESASのホームページ(英語)からFDTをダウンロードして使ってね!というのがあって(LINUXの場合は、ツールが用意されているようです)、ダウンロードして使いました。友達から、昔のトランジスタ技術も借りてきていたので、操作方法も難なくクリアできました。

これ、HEW3の画面なんですが、

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この、「Configure Flash Project」というところをクリックすると、

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クリックで拡大できます。

いかにもFDTなプログラムが起動するんですが、今のところ、これで書き込めたためしは無いです。将来対応なのかな???

というわけで、割り込みの書き方もわかったというところで、次はSIPHA COREの移植をしようと思います。

まとめるにはちょっと時間がかかりそうなので、それは後ほどということにしますが、ネットで「プロジェクトを作ってROM焼きまでしてみました〜」という情報が意外に少ないので、とりあえずポイントだけ書いておきます。

  • ツールの入手について
    • 入手方法
      ありがたいことに無料で、ホームページからダウンロードします。また、オーダーすると、CDROM配布もあるようです。
    • ツールのダウンロード
      KPIT Cummins Infosystems Limitedよりダウンロードします。
    • ユーザ登録
      ホームページから登録すると、「登録してくれてありがとう。これから手動で登録するからちょっと待っててね〜」というメールと「登録したよ、パスワードはこれ」という2通のメールが来ます。自分の場合、1時間程度でした。
    • ダウンロードするツール
      ダウンロードするツールは、Windows上にてHEW3+GCCを使って、H8の開発を行うケースで、3つです。
      「無償ダウンロード」メニューの中から進んでいってダウンロードします。サイズは結構でかいです(30M、30M、10Mぐらい)。
      • 「ルネサスツール」HEW 3.0.6-ntc for KPIT GNU Tools with Simulators
      • 「KPIT GNUツール」GNUH8 v0403 Windows Tool Chain (ELF)
      • 「KPIT GNUツール」GDBH8 v0402 Windows Debugger (COFF/ELF Format)
  • インストール
    インストールですが、最初にHEW3をインストールすること以外に、特に注意点はありません。HEW3を先にインストールすることにより、コンパイラとデバッガが、インストール時に自動的にHEW3に登録されます。インストールするフォルダを変えてみたりしましたが、今のところ問題はありません。ただ、もし既に日本語版のHEW3が入っていたりすると、いろいろあるかもなので、すっきりとやるならば、アンインストールしておいたほうがいいと思います。
  • まずは使ってみる
    KPITのホームページに、簡単にまずは使ってみるための日本語のドキュメントがあります。ホームページ上のメニューから「はじめに」−「ツールを使用するために−HEW」と選択すると、「KPIT Cummins GNUツールを使用する為に」がありますので、これを読みながらやれば、インストールからシミュレータ上でのデバッグまでをやってみることができます。
  • プログラムを作ってみる
    • 自動生成されたコードについて
      H8/3664のコードを書いている限りでは、自動生成されたIO宣言用のヘッダファイルや、スタートアップルーチンを修正する必要はありませんでした。
    • ROM化について
      モトローラのSフォーマットって言うんでしょうか?これに変換するツールがついているので、HEW3のビルド設定(Build Phase)の中に記述して呼び出すようにしてやる必要があります。具体的には、"h8300-elf-objcopy.exe"というツールを使って".xファイル"から"MOTファイル"へ変換します。パラメータ(Default options)は、"-O srec $(FILENAME) $(WORKSPNAME).mot"が個人的に気に入ってます。
    • プログラムのマイコンへの書き込みについて
      当初、HEW3から呼び出せる(実際、一部の機能は呼ばれているように見える)と思っていたのですが、結局だめでした。FAQを読んでいたら、「FDTを使ってください」とのことで…FAQの中には古いものもありますので、HEW3世代においてもこのFAQがあたりなのかはわからなかったのですが、素直にFDTをダウンロードしました。これは、ルネサスのホームページからダウンロードすることができます。キーなどを請求する必要はありませんが、一応、同意確認があるページなので直接リンクは止めておいて、行き方を書いておきます。
      • 英語版 Flash Development Toolkit Ver.3.3
        [GLOBAL SITE]-[PRODUCTS]-[Software and Tools]-[Downlaod]-[Evaluation Software]-[Flash and PROM Programming]-[Flash Development Toolkit]と行って、DOWNLOADボタンを押します。
      • 日本語版 Flash Development Toolkit Ver.3.3
        メニューで、[製品]-[マイコン]-[開発環境]と行き、もう一度メニューで、[オンボード書き込みツール]-[各種ダウンロード]-[F-ZTATオンボード書き込みツール]-[無償評価版]といきます。
        日本語版のほうは、アンケート入力があります。
      追加確認情報としては、「Linuxによるマイコンプログラミングのページ」(リンクしちゃって良いのかわからなかったので、タイトルだけ紹介させていただきます)で公開されている、「Open SH/H8 writer」でも書き込みOKでした。しかし、GDL付属の「フラッシュライタ」はNGでした(サイズ表示が変な値になって、書き込み失敗で終わります)。
  • メリット・デメリットとか
    • IDE(統合環境)好きなら、結構満足。
    • ちゃんとソースファイル、複数作れます。
    • 最初のコンパイルは時間かかるが、二回目からはサクサク。うちのLibretto、Crusoeですがバッチリです。たぶん、初回は、コンパイル以外に、「プロジェクトのなんたらかんたら」みたいなことをしているのでは?と思います。
    • HEW3で「便利だ〜」と言われている機能がどこまで使えるかは未確認ですが、とりあえず、シミュレータで、動作サイクル数の表示ができるのはとてもいい!です。他にも、なんか、メモリマップのグラフとか出るんですが、まだよくわかっていないです。
    • シミュレータは、どこまでできるのかはわかりませんが、ロジックチェックには、すごい便利!ブレークで止めたり変数みたり。
    • デフォルトのツールバーのアイコン、多すぎ。FDT機能も統合してくれるとうれしいのですが…。
    • もうちょっとネットでKPIT+HEW3の情報が増えるといいな〜(まずは自分が書こう)。
    • RENESASのHEW3チュートリアルを一度読んでおくといいです。
    • こういうツールをサクサクと使い始めることができる人がうらやましい…。 
    • 最後になりますが、OAKS16-MINIとその開発環境もすばらしく、こっちならこんな風には苦労しないような…

あ、あと、使っていると、時々こういうダイアログが出ます(オフにもできますので、ご安心を)。

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このダイアログで「Provide feedback」を押すと、ブラウザが起動して「使い勝手どうですか〜?」というアンケートのホームページが開きます。日本語もOKとのことなので、使用感とかを書いてあげると喜ばれるかも知れません。「Please don't ask me again」のチェックボックスを入れると開かないようですが、KPITの人って控えめなのかな???

 


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